内外寄生虫の病気事典
ライム病
ライム病はボレリア菌(Borrelia spp.)という細菌によって引き起こされる人獣共通感染症(ズーノーシス)の1つであり、マダニ類が吸血する際に媒介されます。日本では、北海道や長野県で発生が多く報告されています。
病原体
ボレリア菌(Borrelia spp.)
ライム病の原因であるボレリア菌は数種類が確認されています。日本では、B. gariniiやB. afzelii。アメリカではB. burgdorferi sensu stricto、ヨーロッパではB. burgdorferi sensu stricto, B. afzelii, B. gariniiなどが報告されています。
病原体を媒介する動物

日本ではシュルツェマダニがB.afzeliiとB.gariniiを媒介します。またヤマトダニは非病原性のB.japonicaを媒介します。
犬へ感染した場合
症状
症状が見られることはまれですが、急性症状として、元気消失、食欲不振、跛行や起立不能、発熱が見られることがあります。なお、マダニが吸血を開始して17時間以降でボレリア菌が伝播されるといわれています。
治療法
臨床兆候を示している場合に、テトラサイクリンやドキシサイクリン、アモキシシリンといった抗生物質を投与して治療を行います。
予防法
定期的にマダニ駆除薬を使用することでマダニの感染を予防します。
人へ感染した場合
数日から数週間の潜伏期間後に、刺咬部を中心とした特徴的な遊走性紅斑を呈します。他には、発熱、リンパ節腫脹、関節痛などをともなうこともあり、慢性期には慢性萎縮性肢端皮膚炎や慢性関節炎などが見られます。
(文責 獣医学博士 佐伯英治)