ノミを知ろう
ノミってどんな虫?
その生態、一生について
ノミは、犬や猫に寄生・吸血してさまざまな病害を引き起こします。その健康被害から愛犬・愛猫を守るために、ノミの生態について理解しておきましょう。
ノミの種類と大きさ

ノミは、世界中に多くの種類が生息し、犬や猫だけでなくヒトにも寄生する、動物にとって最も一般的な外部寄生虫です。日本では、主にネコノミが犬や猫の体表に寄生します(犬や猫に寄生するノミには、イヌノミもいます)。ネコノミは体長1~3mm、褐色で体が縦に平たく、6本脚を持っています。

1円玉とノミの大きさの比較
ノミ成虫の好物は、動物の血液です。オス・メスに関係なく血を吸います。一方、ノミの幼虫は、ノミの成虫の糞(血液の消化物)や人やペットの食べこぼし、フケなどを食べます。成虫と違い、血を吸うことはありません。ノミのジャンプ力は驚くべきもので、光の刺激や犬・猫が出す二酸化炭素・体熱に反応し、強力な筋力を持つ後ろ脚で体長の約60倍の距離、約100倍もの高さを飛んで動物に寄生、吸血します。
ノミの一生(ライフサイクル)と犬・猫への寄生
ノミの大きな特徴として、卵から幼虫、さなぎ、成虫という4段階の発育を経て、姿を変えながら成長することが挙げられます。この発育段階によって効く薬や効かない薬があること、さらには犬・猫の体表にいる成虫だけを取り除いてもすぐに卵から発育・繁殖することが、ノミを簡単に駆除できない理由となっています。
ノミは、通常1.0日~6日間で卵からふ化して幼虫になり、2度の脱皮をした後、さなぎから成虫になります。ノミの成虫は、光や熱、二酸化炭素に反応して動物の体表に寄生します。寄生すると8分以内に吸血を開始し、36時間~48時間以内に産卵(1日平均30個)します。その後も体表上にとどまり、吸血と産卵をくり返して、通常1~2カ月で一生を終えます。ノミの成虫が犬・猫の体表で過ごすのは、生涯で見るとほんの一瞬にすぎません。多くは犬・猫の周囲(飼育環境)で過ごしているのです。
ノミのライフサイクルと犬・猫への寄生(ネコノミの場合)

卵
直径:0.5mm大
卵の表面は滑らかなため、犬・猫の体表にとどまらず、数時間以内に落下する。好適な環境下(温度27℃、湿度50%以上)では、約1~6日でふ化し、幼虫になる。
幼虫
体長:第1齢幼虫では2mm程度、第3齢幼虫では4~5mm程度
1~2週間で2度の脱皮をくり返す。成ノミの糞を主なエサとして成長するが、幼虫同士の共食いも起こる。
サナギ
約1週間で繭の中で蛹化(ようか:幼虫から蛹という成虫の一歩手前まで成長すること)する。好適な条件(温度:24~32℃、湿度:78~80%など)がそろって初めてう化する(1年近くサナギのまま生存することもある)。
成虫
体長:オス1.2mm~1.8mm、メス1.6mm~2.0mm
成虫は光や光熱、二酸化炭素に反応して動物の体表に寄生後、8分以内に吸血を開始する。メスでは吸血後36~48時間以内に産卵(一日平均30個)する。成虫は人に咬みつくこともあり、強いかゆみなどのノミ刺咬症を引き起こす。