おなかの虫を知ろう
おなかの虫が犬・猫に引き起こす症状と病気
おなかの虫が犬・猫、さらに人に寄生した際に引き起こす、主な症状と病気をご紹介します。
おなかの虫は、犬・猫の消化管にすみついて、消化物を栄養源にしたり、腸に咬みついて血液を吸います。そのためたくさん寄生すると、犬・猫に以下のようなさまざまな病害(症状)を引き起こします。
犬・猫に引き起こす病害
- 元気がなくなる
- 動作が鈍くなる
- 消化不良や下痢を起こす
- おなかがふくれる
- 異嗜(いし)症※1を起こす
- 発育不良を起こす
- 粘血便※2や貧血を起こす
※1 異嗜症:食べ物ではないもの(糞や石、紙など)を食べる病気のこと
※2 粘血便:粘り気のある血便のこと
子犬・子猫は特に注意
子犬・子猫の場合、検便で発見される前に深刻な症状になり、命に関わることがあります。
人に引き起こす病害
犬猫回虫症

幼虫が皮膚に移行(足首付近の皮疹部分から、犬回虫の幼虫を確認)
写真提供/済生会千里病院内科 荒金和美 先生
室内や公園の砂場、あるいは犬・猫の毛に付いた回虫の卵が口から入ることで感染。回虫が幼虫のまま内臓や目、皮膚の下、脊髄などに移行して、さまざまな病害をもたらします。
幼児への感染は重症化しやすく、特に注意が必要です。また大人でも、大量の卵が入った場合には、重篤な症状を引き起こすことがあります。
瓜実条虫症
瓜実条虫はノミが媒介します。愛犬・愛猫とスキンシップした時や、愛犬・愛猫に寄生したノミを人が手でつぶした時、幼児がノミのいるカーペットをなめたりしたときなどに、はずみで口に入って感染します。主に下痢などを引き起こします。
エキノコックス症(多包条虫症)
北海道に生息するキタキツネ※への寄生で有名ですが、室内犬や猫にも感染します。人へは、感染動物の排泄物に含まれる虫の卵が口に入ることで感染します。
感染後5~10年は自覚症状がありませんが、幼虫のまま肝臓内で増殖。次第に重い肝機能障害を引き起こし、放置すれば血流やリンパ流にのって全身に転移し、90%以上が死に至る恐い病気です。
※札幌周辺のキタキツネの約50%がエキノコックスに感染しているともいわれています(北海道大学ホームページより)。旅先でむやみに触ると危険です。