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感染症情報

犬・猫回虫症 [トキソカラ症]

犬・猫回虫症は、ペットの糞便から、何らかの経緯で人の体内に侵入し、成虫になれずに体内を移行して内臓や眼に入り、幼虫移行症と呼ばれるさまざまな障害を引き起こす感染症です。
アメリカの症例では、陽性患者の67%が眼幼虫移行症、20%が内臓幼虫移行症で、眼幼虫移行症の患者の95%が明らかな視覚障害を持ち、20%が片目あるいは両目を失明していました。これらは必ずしもアメリカ特有のものではなく、日本でも最近失明例が出ています。アメリカでの調査では、全米の1~11歳の子どものうち5~7%が陽性を示し、ニューヨーク市では1~15歳の5%が陽性を示すという結果が出ています。しかし両グループとも、ほとんどが無症状であったことが、この感染症の診断の難しさを表しています。

病原体

病原体イメージ

犬回虫(Toxocara canis)・猫回虫(Toxocara cati)

回虫卵は、環境中での抵抗力が非常に強く、砂や土の中に混じって長期間生き続け、感染の機会を待っています。

人への感染源となりうる動物

[イヌ・ネコ・鳥類]

最近ではイヌ・ネコだけでなく野生化したアライグマのアライグマ回虫も注目されています。鳥類は主にニワトリが問題になります(下の感染経路参照)。

症状

内臓移行型

幼虫が侵入する臓器によって症状が異なりますが、発熱や全身の倦怠感、食欲不振などがあります。また、肝臓で腫瘤や結節をつくった場合は肝酵素測定値の上昇、肺にとどまった場合は咳や喘鳴を、脳に達すればてんかん様発作の原因となると言われています。

眼移行型

以前は、網膜芽細胞腫の疑いで眼球を摘出されたこともありましたが、近年の診断技術の向上により、'70年以降、そのような症例はありません。典型的な症状としては網膜脈絡炎、ブドウ膜炎、網膜内腫瘤、硝子体混濁、網膜剥離による視力・視野障害、霧視、飛蚊症などさまざまです。

病原体イメージ

硝子体混濁、視神経乳頭付近に肉芽腫(犬回虫の幼虫が形成)が見られる

3日後

乳頭付近の肉芽腫の移動が見られる

東京医科歯科大学大学院 国際環境寄生虫病学分野 赤尾 信明博士提供

感染経路

経口感染

感染したイヌやネコの糞便に含まれる虫卵を、何らかの事情で(たとえば砂遊びや体毛に付着した虫卵を意識せずに)口に入れてしまうことで感染します。また、感染した家畜(主にニワトリ)のレバーを生で食べることでも感染します。

病原体を媒介する動物

特になし

検査可能機関

東京医科歯科大学大学院 国際環境寄生虫病学分野

治療するには

  • ジエチルカルバマジンやメベンダゾールが試みられているが、効果は一定ではない。組織内に寄生した幼虫に対して確実な治療法はないと言える。
  • 眼移行例の治療も確立しておらず、病変に対する光 凝固、冷凍凝固や硝子体手術、ステロイドの内服投与が試みられているがこれも効果は一定ではない。
  • 泥遊びや砂遊び、あるいは犬や猫と遊んだ後は手洗いを励行すると感染の機会は減少する。

ペットの場合

症状

不顕性感染がほとんどだが、幼犬に多数の成虫が寄生している場合、腹部の異常膨大、呼気の特異的甘臭、異嗜、元気消失、発育不良、削痩、貧血、皮膚弛緩、被毛粗剛、食欲不振、便秘、下痢、腹痛、嘔吐を起こす。体内に幼虫が寄生している雌イヌが妊娠すると、胎盤や乳汁などを通して子イヌに感染するので注意する。

検査可能機関

動物病院

診断するには

糞便検査による虫卵検出。ただし、犬回虫卵が検出されるのは、60~90日齢以下の幼犬がほとんど。猫回虫には年齢抵抗性はない。

治療するには

  • 有効な抗線虫薬を投与する。
  • 駆虫後に虫卵の陰転を確認し、成虫が駆虫されたことを確認する。

予防するには

  • 犬・猫回虫ともに垂直感染があるので、特に子犬および子猫時期の駆虫が虫卵による環境汚染を防ぎ、トキソカラ拡散の防止につながる。
  • 虫卵検査はしばしば見かけの陰性となるため、糞便検査の如何にかかわらず、すべてのイヌに対して2週齢に達した時点で(ネコでは胎盤感染が成立しないため6週齢から)駆虫薬投与を開始し、3ヶ月までは2週間おきに再投与を行い、3~6ヶ月齢では毎月、その後も定期的に駆虫する。